波・メール通信句会
第81回 令和8年1月
富山ゆたか
主宰特選三句
今日だけは特別な鳥初雀 岡坂ゆう子
毎朝、庭に来る雀たち。見慣れた雀ではあるが、可愛いもの。新年初の雀と見れば、特別な語がつくのも尤もな事である。
有明の月強張りて寒の入り 中出 隆義
見方によってはやゝ当り前とも言えるが、中七の措辞「強張りて」が寒の入りにうまく呼応した。
裸木や本音で生きる潔さ 岡坂ゆう子
人前ではつくろうこともある人間。全ての葉を落とし切った潔さに敬意を表された作者がみえてくる。
主宰入選五句
鶏鳴の空の明るく初詣 大平 政弘
とりどりの鳥で華やぐ枯大樹 風野 でら
寄り添ふが一の癒しや虎落笛 鎌田紀三男
ツリーハウスは空のラウンジ冬うらら 風野 でら
帆を上げし鹿児島二人初句会 関美 晴
作者一句(互選・得点順)
乾鮭のあぎとに残る気概かな 山田せつ子
病院のリハビリ室に初日さす 菅谷 睦
碧落に天馬の駈くる年始状 飯野 深草
面取りて碧き双眼里神楽 伊藤真理子
寒雷か歪む平和の地響きか 帆川 透
寒月の肌に触れくる家路かな 大谷みどり
いたずらを黙考中の寒鴉 山下 遊児
願かけに出雲大社へ雪女郎 宮川 敏江
軒合ひを割つて朝の日寒すずめ 稲吉 豊
霜柱きのうの憂さを押し上げる 霧野萬地郎
ひととせを閉ざせる雨戸石蕗の花 亀倉美知子
淑気満つ表参道松並木 田中 順子
八回目年女かと泣き笑い 粋 狂 子
手土産のカステラ開く女正月 山崎 美紀
カザルスのチェロの幽けし冬の星 富山ゆたか
初詣虚子の谷倉と立子墓碑 廣田 洋々
初夢にこころ湧き立つ旅日記 山田 節子
霜柱踏み締め向かふコンポスト 坂本 弘道
会員選評より
ツリーハウスは空のラウンジ冬うらら 風野 でら
木の上に作られたホテルですね。こんな体験をしたい一句です。(霧野萬地郎)
帆を上げし鹿児島二人初句会 関美 晴
鹿児島のおふたりの今年初めての句会。「帆を上げし」にめでたさと、さあ頑張りましょうの気持ちが伝わってくる。今年もよろしくお願いいたします。(山田せつ子)
乾鮭のあぎとに残る気概かな 山田せつ子
教科書にある明治の洋画家高橋某の絵画を想起した。力強さに打たれる。(稲吉豊)
病院のリハビリ室に初日さす 菅谷 睦
元旦の静まり返った病院は何となく寂しく感じますが、リハビリ室にさす初日からは、明るい今年の希望が伝わってきて、心に響きました。(田中順子)
碧落に天馬の駈くる年始状 飯野 深草
「天馬空を行く」の諺のように、天馬が大空を自在に駆けている年賀状が届いたのだ。この天馬に乗っている詩神のミューズを想像。(富山ゆたか)
面取りて碧き双眼里神楽 伊藤真理子
里神楽とインターナショナルのコラボが絶妙であり、なんとなくまったりとした光景が目に浮かぶ。(粋狂子)
寒雷か歪む平和の地響きか 帆川 透
自然 (寒雷 )が人為(平和を歪ませる人間)を諫めているとも読みとれます。(飯野深草)


